○久留米市立特別支援学校等における医療的ケア実施規程
令和4年3月31日
久留米市教育委員会規程第1号
(趣旨)
第1条 この規程は、児童生徒の教育を受ける機会を確保することを目的として、久留米市立特別支援学校、小学校及び中学校(以下「学校」と総称する。)において久留米市教育委員会(以下「教育委員会」という。)が実施する医療的ケアに関し、必要な事項を定めるものとする。
(医療的ケアを実施する時間)
第2条 医療的ケアを実施する時間は、始業から終業までの教育課程内の時間帯とする。
2 前項の規定にかかわらず、校外学習(宿泊を伴う場合を含む。)における医療的ケアの実施については、教育委員会が別に定めるところによる。
(医療的ケアの内容)
第3条 学校において行われる医療的ケアは、児童生徒が日常生活を送る上で継続的に必要とされる医療的な生活援助行為(治療を目的とするものを除く。)であって、次に掲げるものとする。
(1) 痰の吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
(2) 栄養管理(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)
(3) 気管切開部の衛生管理
(4) 人工呼吸器による呼吸管理
(5) 導尿
(6) その他第8条に規定する医療的ケア支援委員会において実施可能であると認められた医行為
(医療的ケアの対象者)
第4条 医療的ケアの対象となる者は、次の各号のいずれにも該当する者であって、教育委員会が医療的ケアが常時必要であると認めたものとする。
(1) 久留米市の住民基本台帳に記載されている者であること。
(2) 学校に在籍している児童生徒であること。
(学校配置看護師による医療的ケア)
第5条 医療的ケアは、医療的ケアに関する知見及び技術を有する者として学校に配置された看護師(以下「学校配置看護師」という。)により行うものとする。
(学校配置看護師の役割)
第6条 学校配置看護師の役割は、次のとおりとする。
(1) この規程により医療的ケアが実施される児童生徒(以下「対象児童生徒」という。)ごとに、主治医の指示書に基づき、医療的ケアの実施マニュアル及び緊急時マニュアルの案を作成すること。
(2) 対象児童生徒に対し、主治医の指示書並びに実施マニュアル及び学校指導医からの指導又は助言に基づき、医療的ケアを行うこと。
(3) 対象児童生徒の健康観察を行うこと。
(4) 医療的ケアの実施状況、健康状態等を記録し、対象児童生徒に係る書類記録を、業務遂行中適切に管理すること。
(5) 学校に対し、医療的ケアの実施状況等について、適宜、報告又は連絡を行い、必要に応じて、専門的知見からの意見又は助言等を行うこと。
(6) 学校及び保護者と積極的に情報共有を図ること。
(7) 対象児童生徒に事故等の緊急事態が発生した際には、応急手当その他必要な措置を行うこと。
(8) 学校における医療的ケアに関する各種会議及び研修に参加すること。
(学校指導医の委嘱及び役割)
第7条 教育委員会は、医療的ケアを適切かつ安全に実施するため、医療的ケア又は在宅医療に知見のある医師を学校指導医として委嘱するものとする。
2 学校指導医の役割は、次のとおりとする。
(1) 学校及び学校配置看護師に対し、学校における医療的ケアの実施上の留意点等について、指導又は助言を行うこと。
(2) 学校配置看護師に対し、医療的ケアの手技等について指導又は助言を行うこと。
(3) 対象児童生徒に対する医療的ケアが、主治医の指示書、実施マニュアル及び学校指導医の指導若しくは助言に従って適切に行われているか点検及び評価し、指導又は助言を行うこと。
(4) 医療的ケアの実施場所が、衛生面若しくは安全面において適切な環境であるか点検及び評価し、指導又は助言を行うこと。
(5) 学校、学校配置看護師又は保護者からの医療的ケアの実施に係る疑問、相談等に対応すること。
(6) 対象児童生徒の主治医と、適切かつ安全な医療的ケアの実施のために必要な情報共有を図ること。
(医療的ケア支援委員会)
第8条 教育委員会は、医療的ケアを組織的な体制のもとで適切かつ安全に実施するため、各学校に、教育委員会が別に定める者によって構成される医療的ケア支援委員会を置く。
2 前項の規定に基づき設置される医療的ケア支援委員会は、校長が主宰し、次に掲げる事項について検討し、又は協議する。
(1) 医療的ケアの実施に係る校内体制
(2) 第11条の規定に基づき教育委員会から協議を開始する旨を通知された保護者に係る児童生徒について、当該者に実施する医療的ケアの内容、方法、手技等
(3) 医療的ケアに関する研修の開催
(4) その他校長が必要と認める事項
(医療的ケア実施運営協議会)
第9条 教育委員会は、医療的ケアを総括的な管理体制のもとで適切かつ安全に実施するため、教育委員会が別に定める者によって構成される医療的ケア実施運営協議会を置く。
2 医療的ケア実施運営協議会は、次に掲げる事項について協議、点検又は評価を行う。
(1) 医療的ケアの実施又は運営上の課題に関すること。
(2) 学校内における医療的ケアの実施体制に関すること。
(3) 関係機関との連携及び連絡調整に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、医療的ケアを適切かつ安全に実施するために必要な事項に関すること。
(医療的ケアの申込み)
第10条 医療的ケアの実施を希望する保護者は、久留米市教育支援委員会が開催する就学相談に申し込むとともに、教育委員会が別に定める日までに、医療的ケア実施(変更)申込書(第1号様式)を教育委員会に提出しなければならない。ただし、教育委員会が認めた場合は、就学相談への申込みを省略することができる。
(医療的ケアの実施に関する協議)
第12条 校長は、前条の規定により医療的ケアの実施に関する協議を開始する旨が保護者に通知されたときは、医療的ケア支援委員会を開催する。
2 校長は、当該児童生徒に係る医療的ケアの内容、方法、手技等について、保護者、主治医、学校配置看護師その他の必要な関係者が集合して(オンラインによる参加を含む。)協議し、確認する機会を設けなければならない。
3 第1項に定める医療的ケアの実施の承諾に係る期間は、1年の範囲内で教育委員会が定めた期間とする。
(保護者の遵守事項及び同意)
第14条 医療的ケアの実施に当たっては、保護者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 毎日の登校時に、対象児童生徒の健康状態を学校及び学校配置看護師に報告すること。
(2) 体調の悪化、アレルギー反応、当該児童生徒に行われている医療行為の内容又は服薬の種類若しくは量の変化その他の当該児童生徒の健康状態に係る何らかの変化が生じたときは、医師の診察の結果とともに、その内容を学校及び学校配置看護師に伝えること。
(3) 必要書類の提出、学校配置看護師が当該児童生徒の主治医から受ける研修への立会その他の教育委員会又は学校が医療的ケアを適切かつ安全に実施するために保護者に求めた事項を履行すること。
(4) 医療的ケアに必要な医療機器、器具及び消耗品(以下「医療機器等」という。)を用意し、当該医療機器等が衛生面及び機能面において適切に作動するよう常に点検し、維持管理を怠らないこと。
(5) 体調が優れない等対象児童生徒の健康状態に異変がある場合においては、無理な登校をさせないこと。
(6) 対象児童生徒の健康状態その他の理由から、学校配置看護師による医療的ケアを安全に実施できないおそれがあると校長が認めたときは、学校配置看護師による医療的ケアを一時的に中止することに同意し、保護者により実施すること。
(7) 学校がいつでも保護者と連絡をとることが可能な体制を確保すること。
(8) 前各号に掲げるもののほか、教育委員会、学校、学校配置看護師その他の関係者と積極的に情報を共有し、必要な連携協力を図ること。
(指示書及びマニュアルに沿った医療的ケアの実施等)
第15条 校長は、医療的ケアの実施に当たり、対象児童生徒ごとに、実施する医療的ケアの内容、方法及び手技、関係者の役割その他医療的ケアの実施に関する手順を定めた実施マニュアル並びに事故発生等の緊急事態における関係者の各行動手順を定めた緊急時マニュアルを策定しておかなければならない。
2 医療的ケアは、対象児童生徒の主治医の指示書並びに前項の実施マニュアル及び緊急時マニュアルに沿って実施しなければならない。
3 校長は、医療的ケアを実施するに当たり、対象児童生徒に異常が生じた場合に関係者が速やかに行動できるよう、緊急時の対応について、保護者、教職員、学校配置看護師、主治医、消防本部その他の関係者とあらかじめ協議し、各自の役割を確認しておかなければならない。
(医療的ケアの内容等の変更)
第16条 保護者は、現に実施している医療的ケアの内容、方法又は手技を変更しようとするときは、医療的ケア実施(変更)申込書を教育委員会に提出しなければならない。ただし、変更の内容が軽微であると教育委員会が認めたときは、この限りでない。
(保護者に対する協力の求め)
第17条 校長は、医療的ケアの内容、方法及び手技、対象児童生徒の健康状態、保護者の連携協力体制又は情報提供の在り方その他の理由により、医療的ケアの適切かつ安全な実施に関して疑義又は懸念があり、変更、調整、改善等を図る必要があると認めたときは、保護者に対し、その理由を十分に説明するとともに、必要な協力を求めることができる。
2 前項の規定による協力の要請を受けた保護者は、医療的ケアが適切かつ安全に実施されるために必要な協力を行わなければならない。
(1) 対象児童生徒が転校することとなったとき。
(2) 学校配置看護師による医療的ケアを必要としなくなったとき。
(3) 医療的ケアを適切かつ安全に実施することが著しく困難であると教育委員会が認めたとき。
(関係者の連携協力)
第20条 教育委員会、校長、教職員、保護者、主治医、学校配置看護師、学校指導医、医療的ケア支援委員会、医療的ケア運営協議会その他学校における医療的ケアの関係者は、対象児童生徒が適切かつ安全な環境のもとで医療的ケアを受けることができるよう、相互に緊密に連携し、及び協力しなければならない。
(補則)
第21条 この規程に定めるもののほか、医療的ケアの実施に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
附則
この規程は、令和4年4月1日から施行する。