○久留米市暴力団排除条例
平成22年6月29日
久留米市条例第19号
(前文)
安全で安心な地域社会の実現は、すべての市民の願いであり、豊かな市民生活を築き、今後、久留米市がさらなる発展を目指すために必要不可欠なものである。
しかしながら、久留米市には、指定暴力団本部事務所等が存在する。暴力団は、暴力及び暴力を背景とした不法行為を市民生活に身近なところで繰り返し、市民の安全で安心な生活を脅かしているばかりか、そのような不法行為を繰り返すことによって久留米市の都市イメージが大きく損なわれるなど、社会経済に与える影響は大きい。また、暴力団は、若者にシンナー、覚せい剤等の使用を広めるなどして青少年の健全な育成についても極めて悪い影響を与えている。
私たちは、このように反社会的な集団である暴力団の存在を決して許さず、市民、事業者及び行政が一丸となって、すべての社会経済活動から暴力団を排除することを強く決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、久留米市からの暴力団の排除(以下「暴力団の排除」という。)に関する基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団員又は暴力団員が指定した者に対する利益の供与の禁止等を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって市民の安全で平穏な生活を確保し、及び久留米市における社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
(2) 暴力団員 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
(3) 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。
(基本理念)
第3条 暴力団の排除は、市民及び事業者が、暴力団が社会に悪影響を与える存在であることを認識し、「暴力団を利用しない」、「暴力団に金を出さない」、「暴力団を恐れない」という基本的事項を遵守するとともに、暴力団への協力及び暴力団との交際の根絶に向けて市、市民及び事業者が互いに密接な連携を図りながら協力して推進されなければならない。
(市の役割)
第4条 市は、市民及び事業者の協力を得るとともに、県その他暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体との連携を図りながら、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。
(市民及び事業者の役割)
第5条 市民は、暴力団の排除のための活動に自主的に取り組み、並びに市民それぞれが連携し、市、県及び暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業(事業の準備を含む。以下同じ。)により暴力団に利益を与えることがないようにするとともに、市、県及び暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとする。
3 市民及び事業者は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、市及び警察その他関係機関に対し当該情報を提供するよう努めるものとする。
(市の事務及び事業における措置)
第6条 市は、公共工事その他の市の事務又は事業により暴力団に利益を与えることがないよう、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者を市が実施する入札に参加させない等の必要な措置を講ずるものとする。
(公の施設の利用の制限)
第7条 市長若しくは教育委員会又は指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)は、同法第244条第1項に規定する公の施設の利用が暴力団の利益となると認めるときは、当該公の施設の管理について定める他の条例の規定にかかわらず、当該公の施設の利用の許可をせず、又は利用の許可をした場合において当該許可を取り消す等の利用の制限に関する処分を行うことができる。
(平27条例56・追加)
(市民及び事業者に対する支援)
第8条 市は、市民及び事業者が暴力団又は暴力団員に対する訴訟の提起その他の暴力団の排除のための活動に自主的に取り組み、並びに市民及び事業者それぞれが連携して当該活動に取り組むことができるよう、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(平27条例56・旧第7条繰下)
(久留米市暴力追放推進基金の活用)
第9条 市は、市民及び事業者の暴力団の排除のための活動に対し、市長が別に定めるところにより、久留米市暴力追放推進基金を活用し、必要な支援を行うことができる。
(平27条例56・旧第8条繰下)
(暴力団事務所撤去の支援)
第10条 市は、暴力団事務所の撤去に係る訴訟であって暴力団の排除に資すると認められるものを提起し、又は提起しようとする者に対し市長が別に定めるところにより、必要な費用の支援、当該訴訟に関する情報の提供等を行うことができる。
(平27条例56・旧第9条繰下)
(広報及び啓発)
第11条 市は、市民及び事業者が暴力団の排除の重要性について理解を深め、暴力団の排除のための活動に自主的に取り組み、並びに市民及び事業者それぞれが連携して当該活動に取り組むことができるよう、暴力団の排除の気運を醸成するための広報及び啓発を行うものとする。
(平27条例56・旧第10条繰下)
(青少年に対する教育等のための措置)
第12条 市は、その設置する学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する中学校、高等学校又は特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)をいう。次項において同じ。)において、その生徒が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育を県が実施する取り組みと整合を図って行うものとする。
2 市は、前項に規定する教育の目的を達成するため市内に所在する学校(市が設置するものを除く。)及び学校教育法第1条に規定する高等専門学校又は青少年の育成に携わる者が青少年に対して教育、助言その他適切な措置を講ずることができるよう、これらのものに対し情報の提供その他の支援又は協力を行うものとする。
(平27条例56・旧第11条繰下)
(暴力団の威力を利用することの禁止)
第13条 市民及び事業者は、債権の回収、紛争の解決等に関し暴力団員を利用すること、自己が暴力団と関係があることを認識させて相手方を威圧すること等暴力団の威力を利用してはならない。
(平27条例56・旧第12条繰下)
(利益の供与の禁止)
第14条 市民及び事業者は、暴力団の威力を利用する目的で暴力団員又は暴力団員が指定した者に対し金品その他の財産上の利益の供与をしてはならない。
2 市民及び事業者は、前項に定めるもののほか暴力団の活動又は運営に協力する目的で暴力団員又は暴力団員が指定した者に対し金品その他の財産上の利益の供与をしてはならない。
(平27条例56・旧第13条繰下)
(不動産の譲渡等をしようとする者の責務)
第15条 市内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に当該契約の相手方に対し当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
2 何人も、自己が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って当該譲渡等に係る契約をしてはならない。
3 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる旨のすべてを定めるよう努めなければならない。
(1) 当該契約の相手方が当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない旨
(2) 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは当該譲渡等をした者が催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができる旨
4 前項第2号に掲げる事項を譲渡等に係る契約において定めた者は、当該譲渡等を行った後に譲渡等をした不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、速やかに当該契約を解除し、又は不動産の買戻しをするよう努めなければならない。
(平27条例56・旧第14条繰下)
(不動産の譲渡等の代理等をする者の責務)
第16条 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し前条の規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
2 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。
(平27条例56・旧第15条繰下)
(平27条例56・旧第16条繰下)
附則
この条例は、平成22年10月1日から施行する。
附則(平成27年12月21日条例第56号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。