○久留米市防犯まちづくり条例
平成20年3月28日
久留米市条例第5号
(前文)
安全で安心して暮らせる地域社会の実現は、久留米市が未来に向かって発展していくために最も重要な基盤であり、すべての市民の願いである。
本市は、温暖な気候と九州一の大河筑後川、緑豊かな耳納連山、筑後平野などの豊かな自然の中で、先人たちのたゆまぬ努力で築かれた地域社会を基盤として、活力ある産業と多彩な文化をはぐくみながら発展してきた。
しかしながら、近年、都市化、国際化及び情報化などの進展に伴う社会情勢の変化や社会的な規範意識の低下などを背景として、日常生活が営まれる身近な場所における犯罪が増加している。
犯罪は、生命、財産にかかわる最大の人権侵害である。このような犯罪を防止するためには、市民一人ひとりが自らの防犯意識を高めるとともに、自分たちの地域社会は自分たちで守るという意識の下、市、市民及び事業者が互いに連携し、犯罪の起こりにくい地域社会を築いていくことが必要である。
また、暴力団は、その暴力的な威勢を背景に、銃器を使用した凶悪事件や市民生活の場における不法行為など様々な犯罪を引き起こす集団である。このような私たちの暮らしを脅かす暴力団の存在を私たちは決して許すことができない。
ここに、私たちは、住む人にとっても、訪れる人にとっても、犯罪のない安全で安心な久留米市の実現に向けて、一丸となって取り組むことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、犯罪を未然に防止し、市民が安全で安心して暮らすことができる地域社会づくり(以下「防犯まちづくり」という。)について、その基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、防犯まちづくりの推進に関する基本的事項を定めることにより、防犯まちづくりを総合的に推進し、もって市民一人ひとりが安心して暮らすことができる安全な久留米市の実現を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 防犯まちづくりは、市、市民及び事業者がそれぞれに取り組むとともに、お互いが密接な連携を図りながら、協働して行わなければならない。
2 防犯まちづくりは、基本的人権が尊重され、自立と相互扶助の精神に支えられた良好な地域社会の形成が必要不可欠であることを認識して、行わなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、防犯まちづくりに関する施策を策定し、及び実施するものとする。
2 市は、前項の規定により策定する施策に市民及び事業者の意見を反映させるとともに、当該施策の実施に当たっては、市民及び事業者の理解と協力を得るための情報の提供、技術的な助言その他必要な措置を行うものとする。
3 市は、第1項の施策を実施するに当たっては、未成年者、高齢者、障害者その他援護を要する者に配慮するものとする。
4 市は、防犯まちづくりを推進するために、国、県、警察その他の関係行政機関及び関係団体と密接な連携を図るものとする。
(市民の責務)
第4条 市民は、基本理念にのっとり、防犯まちづくりに関する理解を深め、日常生活における自らの安全を確保するよう努めるものとする。
2 市民は、互いに協力して地域の自主防犯活動の推進に努めるとともに、市及び事業者と連携し、防犯まちづくりを推進するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、防犯まちづくりに関する理解を深め、地域社会の一員であるとの認識の下に地域活動に参加するよう努めるとともに、市及び市民と連携して、防犯まちづくりを推進するよう努めるものとする。
2 事業者は、その所有し、又は管理する施設等及び事業活動について、防犯まちづくりのために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 事業者は、従業員等に防犯まちづくりに必要な知識及び技術を習得させるよう努めるものとする。
4 事業者は、市が実施する防犯まちづくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(防犯まちづくり推進協議会)
第6条 防犯まちづくりの推進に資するため、久留米市防犯まちづくり推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
2 協議会は、市長の諮問に応じ、防犯まちづくりの推進に関する事項を調査審議する。
3 協議会は、前項の諮問に関連する事項について、市長に対し意見を述べることができる。
4 協議会は、委員20人以内で組織し、市長が委嘱する。
5 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(広報及び啓発)
第7条 市は、防犯まちづくりに関する市民及び事業者の理解を深めるため、必要な広報その他啓発活動を行うものとする。
(未成年者の保護)
第8条 市、市民及び事業者は、未成年者の健全な成長を阻害するおそれのある社会環境から、未成年者を保護するよう努めるものとする。
(規範意識の向上)
第9条 市、市民及び事業者は、良好な社会環境を醸成するため、規範意識の向上に努めるものとする。
(自主的な防犯活動に対する支援)
第10条 市は、市民及び事業者が自主的に行う防犯まちづくりに関する活動に対して、情報の提供、技術的助言その他の必要な支援を行うものとする。
(学校等における児童生徒等の安全確保)
第11条 学校又は児童福祉施設(以下「学校等」という。)を設置し、又は管理する者は、保護者、地域住民、警察その他の関係行政機関及び関係団体と連携し、学校等における児童、生徒及び幼児(以下「児童生徒等」という。)の安全を確保するよう努めるものとする。
2 児童生徒等が通学若しくは通園に利用している道路又は日常的に利用している公園その他の施設(以下「通学路等」という。)を管理する者、保護者、学校等を管理する者及び地域住民は、警察署その他の関係行政機関及び関係団体と連携し、児童生徒等を犯罪から守るため、通学路等における児童生徒等の安全を確保するよう努めるものとする。
(暴力追放運動の推進)
第12条 市は、防犯まちづくりの推進を阻害する暴力団を追放するため、警察その他の関係行政機関及び関係団体と連携し、市民及び事業者の暴力追放の意識を高揚させるとともに、暴力追放運動に必要な施策を推進するものとする。
(健全で魅力ある繁華街等の形成)
第13条 市は、健全で魅力ある繁華街等の形成に資するため、市民、事業者、警察その他の関係行政機関及び関係団体と連携し、繁華街等における安全確保に努めるものとする。
(犯罪の防止に配慮した道路等の普及)
第14条 市は、犯罪の防止に配慮した道路、公園、公営住宅、自動車駐車場、自転車駐車場その他の公共施設の普及に努めるものとする。
(委任)
第15条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。
附則 抄
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。