○久留米市市民活動を進める条例

平成23年12月14日

久留米市条例第32号

(前文)

わたしたちが暮らす久留米市は、悠久の歴史を持ち、大河筑後川に抱かれた筑後平野という豊かな自然の中で、先人たちのたゆまぬ努力で礎が築かれ、地域の特色を育みながら発展してきました。

わたしたちは、この地域で生きていることを大切にし、この地域の貴重な歴史や自然を守り、魅力ある地域として未来世代に引き継いでいきたいと願っています。

近年の社会環境の変化は、人々の価値観の変化、生活様式の多様化を急速に進めました。その結果、人間関係の希薄化が生じるとともに、福祉、環境、教育等の行政だけでは抱えきれない様々な社会的課題が生じています。それぞれの課題を解決するためには、地域で支えあう力の再生が求められており、地域が自らの責任でその特色にあった地域づくりを進めることが必要となっています。

わたしたち久留米市民一人ひとりは、この地域でみんなと一緒に暮らしていくためには何をすればいいのかを考えるという原点に立ち返り、地域社会における個人の役割を確認することの重要性に気づく必要があります。自らが住みよく、心豊かで人のぬくもりが感じられる暮らしは、互いの人権及び個性を尊重しつつ、思いやりや支えあいの心をもって活動することから始まります。

現在でも市民、市民公益活動団体、地域コミュニティ組織、事業者等の個人や団体によって、様々な形で地域による活動が行われています。さらに、それぞれが互いに連携協力して地域が抱える様々な課題等の解決に取り組んで行く動きも見られます。そのような協働による地域づくり活動がより一層推進されることによって、魅力ある地域社会がつくられていきます。

わたしたち久留米市民は、協働による地域づくり活動や市民活動の重要性を再確認し、より多くの市民の参画、参加又は協力を得て市民活動の活性化を図り、「私たち市民一人ひとりが思いやりの心をもって暮らす心豊かな地域社会」を築くことを目指します。

(目的)

第1条 この条例は、「私たち市民一人ひとりが思いやりの心をもって暮らす心豊かな地域社会」の実現に寄与するため、地域社会を構成する市民、市民公益活動団体、地域コミュニティ組織及び事業者(以下「各主体」という。)の役割並びに市の役割及び責務を明らかにし、並びに市民活動の基本的な事項を定めることにより、市民活動の活性化を促進することを目的とする。

(基本理念)

第2条 各主体及び市は、次に掲げる事項を旨として市民活動の活性化に取り組まなければならない。

(1) 地域社会における自らの役割を理解し、自らができることを考え行動すること。

(2) 各主体が行う市民活動を尊重すること。

(3) 互いの多様な役割に配慮し、情報を共有し、良好な連携を進めるよう努力すること。

(4) 協働による地域づくりを進めること。

(定義)

第3条 次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによるものとする。

(1) 市民活動 主として市民、市民公益活動団体及び地域コミュニティ組織が行う不特定多数のものの利益の増進を目的とし、市民が主役となって社会的な課題の解決に取り組む営利を目的としない活動で次のいずれにも該当しないものをいう。

 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とすること。

 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とすること。

 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、若しくはこれらに反対することを目的とすること。

(2) 市民公益活動団体 市民活動を行うことを目的とし、自発的かつ継続的に活動するために形成された団体で次のいずれにも該当しないものをいう。

 公序良俗に反する活動を行う団体

 暴力団(暴力団員による不当な行為等の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)

 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。以下この号において同じ。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体

(3) 地域コミュニティ組織 自治会及び自治会を基盤とした校区コミュニティ組織、各種住民団体その他自らの地域を自らが住みよくすることを目的とし、一定の区域に住所を有する者が構成する団体であって、当該団体の構成員が互いに助け合い、かつ、生活していくことで地域課題等を発見し、その課題等を解決することにより、心豊かな生活を送るための活動を組織的かつ継続的に行う住民組織及び団体をいう。

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念にのっとり、地域社会の一員であることを自覚し、各々が責任をもって市民活動に取り組むものとする。

2 市民は、市民活動の担い手として自発的に行動するよう努めるものとする。

3 市民は、地域コミュニティの一員として自らが暮らす地域に関心を持ち、自らの地域のために地域コミュニティ活動へ参画し、参加し、又は協力するよう努めるものとする。

(市民公益活動団体の役割)

第5条 市民公益活動団体は、基本理念にのっとり、自らが有する専門性、迅速性、柔軟性等の特長を生かし、地域社会が抱える課題等の解決に取り組むものとする。

2 市民公益活動団体は、自らの活動についての積極的な情報発信、当該団体の情報についての公表(当該団体の情報についての公表が義務付けられている場合を含む。)その他の必要な活動を通じて当該団体の活動について多くの市民の理解並びに参画及び参加が得られるよう努めるとともに、市民活動の活性化に取り組むものとする。

(地域コミュニティ組織の役割)

第6条 地域コミュニティ組織は、基本理念にのっとり、地域課題等の解決に取り組むとともに、その活動を通じて地域の活性化に取り組むものとする。

2 地域コミュニティ組織は、自らの活動についての積極的な情報発信、当該団体の情報についての公表その他の必要な活動を行うことにより、当該団体の活動について多くの市民の理解並びに参画及び参加が得られるよう努めるものとする。

3 地域コミュニティ組織は、多様な地域課題等の解決のため、各主体及び市と地域課題等を共有し、相互連携を図ることにより、個性及び魅力ある地域社会をつくるよう努めるものとする。

(地域コミュニティ組織への加入)

第7条 市民は、第4条の規定による取組を達成するため及び前条の規定による取組が達成されるよう、その居住する形態にかかわらず地域コミュニティ組織の基盤である自治会に加入するよう努めるものとする。

2 地域コミュニティ組織は、前条の規定による取組を達成するため、多くの市民が主体的に加入できるよう開かれた運営に努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、基本理念にのっとり、地域社会の一員として市民活動が地域社会に果たす役割を理解し、市民活動の活性化のために自発的に参画し、参加し、又は協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、保有する自らの資源を活用し、地域社会の発展に自らの特性を活かして貢献するよう努めるものとする。

(市の役割及び責務)

第9条 市は、基本理念にのっとり、市民活動の活性化のために必要な施策を実施しなければならない。

2 市は、市民活動に関する職員の意識の向上を図り、市民活動の重要性の認識を深めるとともに、必要な体制整備を行わなければならない。

(市の基本施策)

第10条 市は、次の基本施策を効果的かつ効率的に実施するものとする。

(1) 市民活動を行う人材育成の支援

(2) 市民活動に関する広報の支援

(3) 市民活動に関する情報の提供

(4) 市民活動に関する場の提供

(5) 市民活動の連携及び交流の支援

(6) 市民活動に関する財政的な支援

(7) 前各号に掲げるもののほか、市民活動の活性化に関し必要な事項

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

久留米市市民活動を進める条例

平成23年12月14日 条例第32号

(平成24年4月1日施行)