○久留米市環境基本条例

平成11年3月31日

久留米市条例第15号

久留米市環境保全基本条例(昭和48年久留米市条例第47号)の全部を改正する。

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する施策

第1節 施策の基本方針等(第7条―第12条)

第2節 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策(第13条―第18条)

第3節 環境保全協定(第19条・第20条)

第3章 久留米市環境審議会(第21条)

附則

わたしたちは、昭和48年に久留米市環境保全基本条例を制定し、環境保全に係る基本的姿勢を示し、我がふるさとを水と緑の人間都市とするために懸命の努力を続けてきた。

しかしながら、豊かさや利便さを追求してきた生活の営みやそれを支えてきた社会経済活動は、資源やエネルギーの大量消費をもたらし、地球的規模の広がりと将来の世代にわたる環境問題を生み出してきている。かけがえのない地球を守り、恵み豊かな環境を保全しながら将来の世代に引き継ぐことは、わたしたちの願いであり、また責務である。

わたしたちは、市、市民、事業者のすべてのものの協働による循環を基調とする社会の形成により、自然と人間とが共生し、持続的な発展が可能な都市・久留米を実現していくことを決意し、ここに、新たに久留米市環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、良好な環境の保全及び創造に関する施策の基本的な事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的かつ快適な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくことを目的として行われなければならない。

2 良好な環境の保全及び創造は、自然と人間とが共生し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環を基調とする社会を構築することを目的として、すべてのものの公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的な取組によって行われなければならない。

3 地球環境保全は、市、市民及び事業者が自らの課題であることを認識して、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全及び創造に関し、市域の自然的社会的条件に応じた総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減その他の良好な環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴う環境への負荷の低減その他の良好な環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する施策

第1節 施策の基本方針等

(施策の基本方針)

第7条 市は、基本理念の実現を図るために、次に掲げる基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 公害を防止することにより、人の健康の保護及び生活環境の保全を図り、市民が健康で文化的かつ快適な生活を享受できる社会を実現すること。

(2) 水や緑に親しむことのできる都市空間、地域の個性を活かした美しい景観及び居住環境並びに良好な環境の保全及び創造に資する施設を整備することにより、潤いと安らぎのある快適な都市環境を創造すること。

(3) 歴史的、文化的遺産を保存し、及び活用することにより、伝統と文化の香り高い都市環境を確保すること。

(4) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保、森林、農地、河川等における多様な自然環境の保全、緑の創出等を図ることにより、自然と共生する豊かな環境を創造すること。

(5) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用並びにエネルギーの消費の抑制及び有効利用を積極的に推進することにより、循環を基調とする社会を実現すること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、良好な環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する目標

(2) 良好な環境の保全及び創造に関する施策の大綱

(3) 良好な環境の保全及び創造に関する配慮指針及び行動計画

(4) 前3号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する重要な事項

3 市長は、科学技術の進展、社会状況の変化等を勘案して必要があると認めるときは、環境基本計画を変更するものとする。

(環境基本計画の策定手続)

第9条 市長は、環境基本計画を策定する場合においては、あらかじめ市民、事業者又はこれらのものの組織する団体(以下「市民等」という。)の意見を反映するように努めるとともに、第21条に規定する久留米市環境審議会の意見を聴かなければならない。

2 市長は、環境基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(市の施策と環境基本計画との関係)

第10条 市長は、市の施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画の定めるところに従い、良好な環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(年次報告書の作成及び公表)

第11条 市長は、毎年、市域における環境の状況、環境基本計画に基づき実施された施策の状況等についての報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(推進体制)

第12条 市長は、市の機関相互の調整及び市民等との協力を図り、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。

第2節 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

(公共的施設の整備の推進)

第13条 市は、良好な環境の保全及び創造に資するため、下水道、廃棄物処理施設、公園その他の公共的施設の整備を積極的に推進するものとする。

(緑豊かな環境の確保)

第14条 市は、森林その他の緑が有する良好な環境の保全上の機能を重視し、森林等の保全及び整備、市街地等における緑化の推進並びに緑に包まれた魅力ある都市空間の形成に努めるものとする。

(環境教育及び環境学習の振興)

第15条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興に資するため、良好な環境の保全及び創造に関する啓発活動の推進、人材の育成、市民相互の交流の機会の拡充その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の自主的な活動の促進)

第16条 市は、市民等が自主的に行う再生資源に係る回収活動、緑化活動、環境美化活動その他の良好な環境の保全及び創造に資する活動が促進されるように、これらの活動に対する助成、技術的な指導又は助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備)

第17条 市は、環境の状況を把握し、及び良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等の体制を整備するものとする。

(国、他の地方公共団体等との協力)

第18条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策の推進に関し広域的な対応が必要な場合は、国、他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

第3節 環境保全協定

(環境保全協定の締結)

第19条 市長は、事業者と協働して良好な環境の保全及び創造に資する活動を実施するため、市長が別に定める事業所と環境保全協定について協議し、その締結に努めなければならない。

(環境保全協定の内容)

第20条 環境保全協定は、次に掲げる事項について定めることができるものとする。

(1) 公害の防止に関すること。

(2) 緑化の推進に関すること。

(3) 省エネルギー、再生製品の使用、廃棄物の減量・適正処理、環境に配慮した施設整備その他環境への負荷の低減に関すること。

(4) 環境保全活動等への従業員の自主的参加の支援に関すること。

(5) 環境管理体制等の整備に関すること。

(6) 前各号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に資する活動に関すること。

第3章 久留米市環境審議会

(環境審議会)

第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、久留米市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する重要事項

3 前2項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

 抄

(施行期日)

1 この条例は、平成11年4月1日から施行する。

(経過措置)

5 この条例の施行の際現にこの条例による改正前の久留米市環境保全基本条例第6条第1項に規定する久留米市環境保全審議会の委員に委嘱されている者は、この条例の施行の日に審議会の委員に委嘱された者とみなす。

久留米市環境基本条例

平成11年3月31日 条例第15号

(平成11年3月31日施行)