○久留米市政治倫理条例

平成3年2月15日

久留米市条例第1号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その負託に応えるため、市議会議員(以下「議員」という。)及び市長の政治倫理に関する規律の基本となる事項を定めることにより、市民全体の奉仕者として政治倫理の確立と向上に努め、常に良心に従い誠実かつ公正にその職務を行うべきことを促し、もって清浄で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員及び市長の責務)

第2条 議員及び市長は、市民全体の代表者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。

(政治倫理基準等)

第3条 議員及び市長は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 政治活動は公平かつ清廉に行うものとし、政治活動に関し、企業、団体等から、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。その後援団体についても同様とする。

(2) 市が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等のために有利な取り計らいをしないこと。

(3) 常に市民全体の利益のみをその指針として行動するものとし、その地位を利用しいかなる金品も授受しないこと。

(4) 市民全体の代表者としてその品位と名誉を害するような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしないこと。

2 議員及び市長は、政治倫理基準に反する行為として政治的、道義的批判を受けたときは、誠実に疑惑を解明し、その責任を明らかにしなければならない。

(誓約書の提出義務)

第4条 議員及び市長は、規則で定めるところにより、この条例を遵守する旨の誓約書を提出しなければならない。

(政治倫理審査会の設置等)

第5条 政治倫理に関する重要な事項を調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、久留米市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会の委員は、9人とし、3人を議員のうちから、他の6人は地方自治法第18条に定める選挙権を有する市民で、社会的信望があり、地方行政に関し識見の高い者のうちから、市長が委嘱する。

3 審査会の委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の同意を必要とする。

5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。

6 審査会の委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。

(市民の調査請求権)

第6条 市民は、議員又は市長が第3条第1項に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるときは、規則で定めるところにより、これを証する資料を添えて、議員に係るものについては市議会議長(以下「議長」という。)に、市長に係るものについては市長に、調査を請求することができる。

2 議長は、前項の規定により議員に対する調査の請求を受けたときは、その書面の写しを市長に送付するものとする。

3 市長は、前項の規定により送付を受けたとき又は第1項の規定により自らに対する調査の請求を受けたときは、直ちに審査会に審査を付託しなければならない。

(倫理基準違反等の審査)

第7条 審査会は、前条第3項の規定による審査を付託されたとき、又はこの条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けたときは、当該事案の適否又は存否の審査を行い、審査会が必要と認める措置を勧告することができる。

2 審査会は、前項の審査を行うため、事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 第1項の規定による勧告は、文書をもって行い、かつ、理由を付さなければならない。

4 審査会は、第1項の規定による審査を終えたときは、審査結果の要旨を公表しなければならない。

(資産報告書の提出)

第8条 審査会は、事案の解明のため必要があるときは、規則で定めるところにより、資産報告書の提出を求めることができる。

2 審査会は、前項による資産報告書の提出があったときは、これを市民に公開する。

(議員又は市長の協力義務)

第9条 議員又は市長は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。

(照会)

第10条 審査会は、必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して事案の実態を明らかにするものとする。

(虚偽報告等の公表)

第11条 審査会は、議員又は市長が第8条の規定による資産報告書の提出をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき、又は調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。

(贈収賄罪宣告後における釈明)

第12条 議員又は市長が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで及び第198条に定める罪により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、議員については議会が、市長については市長が、市民に対する説明会を開かなければならない。この場合において、当該議員又は市長は、説明会に出席し釈明するものとする。

2 前項の説明会において、市民は、当該議員又は市長に質問することができる。

3 第1項に定める説明会の開催の手続その他その運営に関し必要な事項は、議会又は市長においてこれを定めるものとする。

(贈収賄罪確定後の措置)

第13条 議員又は市長が、前条の有罪の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、議会又は市長は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 議会は、前項の当該議員に議会の名誉と品位を損なう重大な行為があると認めるときは、地方自治法第134条及び第135条の規定に基づき懲罰を科することができる。

(市工事等の契約に対する遵守事項)

第14条 議員及び市長の配偶者及び同居の親族は、地方自治法第92条の2及び第142条の規定の趣旨を尊重し、その請負(下請負を含む。)を辞退し、市民に対し疑惑の念を生じせしめることがあってはならない。

2 前項の規定は、議員及び市長並びにその配偶者及び同居の親族が行う一般物品納入契約について、これを準用する。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、議会又は市長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して5月を超えない範囲内において市長が規則で定める日から施行する。

(平成3年規則第29号で平成3年6月1日から施行)

(適用区分)

2 第6条第1項の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後になされた事案について適用する。

3 第12条及び第13条の規定は、施行日以後に起訴された者について適用する。

久留米市政治倫理条例

平成3年2月15日 条例第1号

(平成3年2月15日施行)